アスベスト除去費用の相場|レベル別の目安と高くなる理由・補助金

アスベストの除去費用は、建材の飛散しやすさで分けた「レベル1〜3」で大きく変わります。
1平方メートルあたりの目安は、レベル1(吹付け材)で1万〜8.5万円、レベル3なら約3,000円からと、10倍以上の開きがあります。
ただし正確な金額は、まず調査で「どのレベルの建材が、どこに、どれだけあるか」を特定しないと出せません。
この記事は、アスベストの調査から除去工事まで全国対応で行う名古屋の会社(株式会社TOP OF)が、一次情報にもとづきまとめました。
ここに載せた金額は当社の料金表ではなく、国・自治体の資料と各社の公表値にもとづく目安です。
レベル1の単価は国土交通省が公表した値、レベル2・3は各社公表値をもとにした目安(2026年7月時点)です。
いずれも現場の条件で大きく変動します。

アスベストの除去って、いくらくらいかかるものですか?
建材のレベルによって、数倍変わります。まずは目安と、なぜそんなに差が出るのかを順に見ていきましょう。

アスベスト除去費用の目安|レベル1〜3で大きく変わる
単価はレベルで変わり、同じレベルの中では処理する面積でも変わります。
レベルが上がるほど飛散を防ぐ工事が大がかりになり、面積が小さいほど1平方メートルあたりは高くつきます。
| レベル | 建材の例 | 単価の目安(1㎡あたり) | この数字の出どころ |
|---|---|---|---|
| レベル1 | 吹付け材(最も飛散しやすい) | 1万〜8.5万円 | 国土交通省が公表した吹付け材の除去単価/処理面積で幅が変わる |
| レベル2 | 保温材・断熱材・耐火被覆材 | 約1万〜6万円 | 公的な公表値がなく、各社の解説をならした目安 |
| レベル3 | 成形板・スレート・ビニル床タイルなど | 約3,000円〜 | 公的な公表値がなく、各社の解説をならした目安 |

3つのうち、国が実績にもとづく数字を公表しているのはレベル1(吹付け材)だけです。
しかもその区分は、レベル別ではなく「処理する面積」別です。
| アスベスト処理面積 | 除去費用(1㎡あたり) |
|---|---|
| 300㎡以下 | 2.0万円〜8.5万円 |
| 300㎡〜1,000㎡ | 1.5万円〜4.5万円 |
| 1,000㎡以上 | 1.0万円〜3.0万円 |
この表を読むときは、3つの前提を押さえてください。
- 対象は吹付け材で、区分はレベル別ではなく処理する面積別
- 2007年1月から12月までの施工実績データから算出された単価
- 施工件数の上下15%をカットした値/条件によってはこの幅を大きく外れる
それでも、この表からは大事なことが1つ読み取れます。
面積が小さいほど、1平方メートルあたりは高くなります。
300㎡以下でいちばん幅が大きいのは、準備や仮設にかかる費用が面積で割り切れないからです。
「レベル1〜3」は、法律の条文で定義された言葉ではなく、飛散のしやすさに応じた行政・実務上の区分です(国土交通省・環境省の資料にもとづく)。
総額の感覚もつかんでおきましょう。
各社の解説では、レベル3の成形板が中心の小規模な住宅で数万〜数十万円、レベル1の吹付け材を含むビルや工場では数百万円規模になる例も紹介されています。
ざっくり試算するなら、たとえばレベル3のスレート屋根が100㎡なら、単価3,000円からで除去作業だけでおよそ30万円台からです。
ここに養生・廃棄物の処分・諸経費が上乗せされます。
面積・レベル・立地で総額は大きく動くため、これも規模感の目安として見てください。
なお、除去作業では、レベルにかかわらず石綿作業主任者の選任や特別教育などが必要です。
レベルで変わるのは、主に飛散を防ぐ工事の方法と、出た廃棄物の扱いです。
「レベル3だから資格や対策がいらない」わけではない、ということです。
アスベスト除去費用の内訳|何にいくらかかるのか
見積書は、大きく6つの項目に分かれます。
除去作業そのものは、そのうちの1つにすぎません。

| 項目 | 内容 | 費用が上がる理由 |
|---|---|---|
| 事前調査・分析 | 建材のレベルを判定する調査 | レベルが決まらないと見積もれない出発点 |
| 届出・仮設 | 行政への届出、足場や仮設の設置 | 建物の規模・立地で変わる |
| 隔離・養生/負圧除じん | 作業場を密閉し、負圧で外に漏らさない設備 | レベルが上がるほど大がかりになる |
| 除去作業 | 有資格者による除去・湿潤化・手作業 | 人手と工数がかかる |
| 廃棄物の運搬・処分 | 特別管理産業廃棄物としての厳格な処理 | 費用の過半を占めることもある |
| 測定 | 作業前後の大気中の濃度測定 | 別途計上のことが多い |
特に見落とされやすいのが、廃棄物の運搬・処分費です。
レベル1・2の廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として厳格に処理する必要があり、各社の解説ではこの処分費だけで全体の過半を占めることもあるとされています。
見積もりを見るときは「どの項目まで含まれるか」を必ず確認してください。
なぜレベル1・2は費用が跳ね上がるのか
レベル1・2は飛散しやすいため、費用を押し上げる要因が重なります。
主なものは次の4つです。

- 作業場の密閉・負圧除じん・湿潤化など、飛散防止が重装備になる
- 出た廃棄物を特別管理産業廃棄物として厳格に処理する
- 面積が広い、または高所・狭い場所で作業がしにくい
- アスベストを含む建材の種類が多く、複雑な形状(配管など)で手作業が増える
特にレベル2の保温材・断熱材は、配管やダクトのまわりに多く使われています。
形が複雑で手作業が増える分、面積のわりに費用がかさみやすい建材です。
もう一つ、見えにくい要因が有資格者の不足です。
調査も除去も有資格者でなければ行えませんが、その担い手は全国で足りていません。
当社は人材紹介も手がけているので、この担い手不足を人を送り出す側からも見ています。
とくに工事が集中する年度末(1〜3月)は有資格者の手配が難しく、費用や工期に響きやすくなります。
できれば年度末を避け、数週間以上の余裕をもって動くほど、業者や日程の選択肢は広がります。
そして費用が想定外にふくらむ典型が、建材のレベルの見誤りです。
調査が不十分なまま工事を始め、あとから別のレベルの建材が見つかると、追加の隔離工事や工期の延長で費用がかさみます。
これを避ける鍵が、最初の調査です。
除去の前に「アスベスト調査」が法律で必須
費用を正しく出すためにも、法律の上でも、除去の前には必ず事前調査が要ります。
どのレベルの建材がどこにあるかは、この調査で初めて確定します。

解体・改修前の事前調査は、工事の規模にかかわらず原則必要です。
制度は段階的に強くなってきました。
- 2022年4月〜:一定規模以上の工事で、事前調査結果の報告が義務化
- 2023年10月〜:建築物の調査は有資格者(建築物石綿含有建材調査者)が実施
- 2026年1月〜:一部の工作物の調査も有資格者(工作物石綿事前調査者)が実施
よく聞く「床面積80㎡以上」「請負金額100万円以上」は、行政へ結果を報告する義務の基準です。
この基準に届かない小さな工事でも、調査そのものは原則必要で、「報告が要るか」と「調査が要るか」は別の話です。
調査のほうにも、使える補助金が用意されています。
吹付け材の分析調査費を補助する制度があり、名古屋市では全額(上限15万円)が対象です。
調査費のほうの相場や補助は、アスベスト調査費用の記事にまとめました。

調査と除去は、別々に頼むことになるんですか?
まずは調査でレベルを確定させます。当社はこの調査を全国対応で行います。除去は、その調査報告書をもとに、発注者ご自身が業者を選んで進められます。

アスベスト除去費用に使える補助金
除去工事の費用にも、国が自治体を通じて補助する制度があります。
国の制度は費用の3分の2以内を上限としていますが、実際にいくら出るかは自治体ごとに決まります(国土交通省)。

実額が分かる例として、当社の地元である名古屋市の制度を並べます。
| 補助の対象 | 国の制度 | 名古屋市の場合 |
|---|---|---|
| 除去等の工事費 (除去・封じ込め・囲い込み) | 費用の3分の2以内/自治体の補助額を超えない範囲 | 3分の2以内・上限120万円 |
| 分析調査費 | 吹付け材の分析調査費 | 全額・上限15万円 |
見落としやすいのは、補助の対象が「吹付け材」に限られることです。
名古屋市の場合、成形板など(レベル3)の分析調査や除去は対象から外れます。
制度の有無・上限・要件は自治体と年度によって変わり、制度がない自治体もあります。
名古屋市の要件を例に、申請でつまずきやすい点を3つ挙げます。
- 分析機関・工事施工者と契約する前に、交付申請を済ませておく
- 解体を予定している建築物は対象外/除去したあとも使い続ける建物が対象
- 受付は予算に達するまで/年度の途中で終わることがある
これは名古屋市の例で、内容は自治体ごとに違います。
お住まいの自治体の窓口で、制度の有無と受付状況を先に確かめてください。
除去を依頼する前に、発注者が確認しておきたい点
アスベストの除去は、危険をともなう専門工事です。
除去業者を選ぶときは、次の点を書面で確認しておくと安心です。

- 工事の内容と金額に応じた登録・許可(解体工事業の登録、建設業許可など)があるか
- 石綿作業主任者の選任、特別教育、作業計画など、法律で求められる体制が整っているか
- 廃棄物を特別管理産業廃棄物として適正に処理し、記録(マニフェスト)を残すか
これらは、どの業者が良い・悪いという話ではなく、発注者として最低限そろっているかを確かめるための項目です。
そのうえで、見積もりは2〜3社から取り、項目をそろえて比べてください。
廃棄物の処分費や作業前後の測定費が抜けている見積もりや、相場より極端に安い見積もりは、あとから追加請求になりやすいサインです。
調査の現場では、屋根裏や配管まわりなど目の届きにくい場所の建材が見落とされがちです。
とくに改修を重ねた建物は、図面に残らない建材が後から出てレベル判定が分かれやすいので、最初の調査で丁寧に見ておきたいところです。
当社は、アスベスト調査から除去工事・解体工事までを承っています。
調べた人がそのまま外す工程まで見るので、見積もりのどこに何の費用が乗っているかを内訳から説明できます。
調査だけのご依頼も、除去まで含めたご依頼も、どちらでもお受けします。
調査の報告書はお渡しするので、他社の見積もりと見比べる材料としてもお使いいただけます。
アスベスト除去費用に関するよくある質問
除去だけを先に頼むことはできますか?
できません。
工事に伴う場合、除去の前に事前調査が法律で必要です。
また、建材のレベルが分からないと、除去の見積もりそのものが出せません。
まず調査、それから除去、という順番が基本です。
なお当社では、調査だけのご依頼も、調査から除去工事まで続けてのご依頼も承っています。
除去費用は誰が負担するのですか?
費用の負担者を法律が定めているわけではありませんが、実務上は工事を発注する側(施主)が負担します。
実際の負担割合は、請負契約の内容で決まります。
契約の前に「調査や除去の費用を誰がどれだけ負担するか」を確認しておくと、後々のもめごとを避けられます。
建材のレベルは、どうすれば分かりますか?
事前調査で分かります。
有資格者が現場を確認し、必要に応じて建材のかけらを採取して分析するのが基本の流れです。
レベルが確定して、はじめて除去の工法と費用が具体的に見えてきます。
2006年より新しい建物でも、除去は必要ですか?
アスベストは2006年9月に、0.1%を超える製造・使用が禁止されました。
それ以降に着工した建物でも、調査そのものは着工時期を問わず原則として行います。
着工日が設計図書などで確かめられる場合は、現地に入らず書面だけで終わることもあります(要否の判断には有資格者の確認が必要です)。
まとめ|除去費用は「まず調査」で見えてくる
最後に、アスベスト除去費用の要点を振り返ります。
- 単価はレベル1〜3で大きく変わり、同じレベルでも処理する面積で変わる
- 費用の内訳では、廃棄物の運搬・処分費が大きな割合を占めることがある
- レベル1・2は飛散防止が重装備になり費用が跳ね上がる
- 除去の前に事前調査が法律で必須/レベルも費用も、まず調査で確定する
- 補助金は自治体で有無・上限・要件が異なるため、契約前に窓口で確認する
レベルも費用も、まず調査で確定します。
動く順番は、次の3ステップが分かりやすいです。
- まず事前調査で、建材のレベルを特定する(当社が全国対応で承ります)
- お住まいの自治体で、補助金の有無を確認する
- 調査結果をもとに、発注者ご自身が除去業者へ見積もりを依頼する
アスベスト調査の費用や義務については、以下の記事でくわしくまとめています。
【関連記事】アスベスト調査費用の相場と内訳|補助金と3つの節約術も解説
【関連記事】アスベスト調査義務化の対象・時期・罰則|2026年新制度も解説

まず調査から、という順番がよく分かりました。相談してみます。
はい、そこが第一歩です。調査が必要かどうか分からない段階のご相談でも大丈夫です。見積もりは無料です。

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監修:橋本 夕日(はしもと ゆうひ)|株式会社TOP OF
一般建築物石綿含有建材調査者/工作物石綿事前調査者/石綿作業主任者/二級建築施工管理技士(建築)
建築現場の施工管理 10年
出典:
国土交通省「アスベスト対策Q&A」(レベル区分・補助制度)
環境省「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」
環境省「石綿の事前調査結果の報告制度」報道発表
厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」(工作物石綿事前調査者)
名古屋市「民間既存建築物吹付けアスベスト対策補助事業」
処理面積別の除去単価は国土交通省の同Q&Aによるもので、2007年1月から12月の施工実績データから算出された値です(上下15%をカット)。
除去等の補助率3分の2以内も同Q&Aの記載です。
レベル2・3の単価は各社公表値をもとにした目安(2026年7月時点)で、公的な相場ではありません。
現場条件により大きく変動するため、正確な金額は調査後の見積もりでご確認ください。
補助制度の有無・上限・要件は自治体・年度により異なります。



